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二つの時間観 循環型と直線型

■2020/04/16 二つの時間観 循環型と直線型

人が密集していない多摩川べりに自転車で出ました。

今年のGWは阿寒湖には行けません。

忍耐の時です。
 
人間万事塞翁が馬という中国の故事があります。

人生は良いことと悪いことの繰り返し。

良いことが起きても有頂天にならずに、その後に起きるかもしれない悪いことに備えなさい、逆に悪いことが起きても、そのうち良いことが起きるからしぱらく忍耐して待ちなさい、というような意味合いです。

厳しい自然環境と戦乱の中を生き抜いてきた大陸に住む人々が体得した一つの処世術ということでなのです。

大学の東洋思想の授業で福井文雅という著名な先生が、易の筮竹をもってきて、筮竹を何回か分けていって卦を出すときに、その分け方は4という数字が基本になっているということを教えてくれました。
 
つまり、人生と四季の循環は密接に関係していて、寒い季節の後には暖かい季節、苦難の後には楽しいことが来るというのが、中国人の考えた自然観、人生観だということなのです。

インド人は輪廻転生ということであの世があることを想定していますが、中国人は現世的な循環の思想をもっているのです。

やはり学生時代に読んだ本で、もう古書になつてしまいましたが、「中国三千年の体質」という本にはそのことがうまく書かれています。
 
それに対して、アメリカ人には聖書の教えを文字通り信じる福音派と呼ばれるキリスト教徒が多くいます。

プロテスタント系の福音派の総数は7000万とも1億ともいわれ、彼らの支持がないとアメリカの大統領にはなれません。

今回の新型コロナウィルスの感染拡大という事態となって、彼らは、終末には疫病が流行したり大地震、飢饉が起きるといった福音書や黙示録の預言を思い起こし、これから世の中がさらに悪くなるという思いをもつものです。

彼らの希望は、この世ではなくてあの世の方にあるのです。
 
アメリカ人は物質主義でプラス思考的と思われがちですが、彼らの多くはこの世的にはネガティブな側面もあるということなのです。
 
しかしまた、同じキリスト教でもカトリック教国であるイタリア、スペイン、フランスなどでは、やはりいずれ終末の時が来るという考えは同じですが、ローマ教皇を中心に連帯意識が強く、みんなで協力してこの苦難を脱しようという動きが生まれます。

大雑把な分類ではありますが、東洋人は時間を循環的なものとしてとらえる傾向があり、西洋人はこの世は神が創造し、いずれは終末のときが来るといった直線的なものとして時間をとらえる傾向があります。

グローバル化した社会の中ではその両方の時間観の影響を受けているもの。

その中でどう生きるかは一人一人に課せられた人生のテーマということになるのでしょうか。


 
 


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