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聖林寺十一面観音でコロナ退散???仏の顔は時代とともに変わる

■2021/07/22 聖林寺十一面観音でコロナ退散???仏の顔は時代とともに変わる

20年ほど前に、奈良の桜井駅からレンタルサイクルで聖林寺の十一面観音を見に行きましたが、上野の国立博物館で久しぶりの再会。

今回は仏壇ではなくて博物館展示ということで360度あらゆる場所から鑑賞できました。

ただ、頭頂部の左右前後に十一個あるはずの化仏(ミニチュア仏の顔)は、三つ欠けていて八つしかありません。

ぐるりと仏像の背後に回りましたが、後頭部の化仏、煩悩ばかりの人間の愚かさを笑い飛ばす「暴悪大笑面」は無かった…

これが観たかったのに…残念…

観音様は衆生を救う慈悲の心を表すといいますが、聖林寺の十一面観音は結構厳めしい表情。

指の表情や衣の表現は技術的にかなり高いものの…
ただ近づきがたい雰囲気…

元々、美輪神社に祀られていて、明治の廃仏毀釈で聖林寺に移されたとのこと。

仏様というか、神道の神様的なかんじなのかも…

キリスト教やイスラム教では仏像は偶像だといいますが、仏像はある意味、鏡のようなもので対峙していると自らの心が現れてくるもの。

ギリシアローマの彫刻が外的なプロポーションの美しさを表現するのに対して、東洋の仏像は内面の光の表現。

そして、仏像には時代背景というものがあります。

大陸から仏教が伝来した飛鳥時代、さらにその後の白鳳時代の仏像は、異国風の顔をしている。

奈良時代は、日本の国家が固まる時期で、官僚や役人が活躍した時代ということで、仏像も厳めしい表情。

聖林寺十一面観音はまさにコレ…

しかしまた、東大寺の大仏同様に、当時流行った疫病を退散させようとして支配者顔をしているのかも…

そう考えれば、コロナ禍の今、少し親しみが感じられる…


平安になると貴族の文化が花開き、仏像も少しすました貴族風の顔…


鎌倉は民衆にも仏教が広まり、仏像の顔は親しみやすいものになってくる…

室町は仏像よりも庭園が中心…

江戸になると檀家制度で仏教が形骸化し、仏像の数は多いが芸術的に優れたものは少ない…


今回の聖林寺十一面観音は、奈良時代の仏像の中では、最高傑作の一つとされ、顔のみならず、首から下の指や衣の表情も見ごたえがありましたが、私は個人は少し距離をとりたいかんじ…

私の好みからいうと…

琵琶湖の北部(湖北の高月町あたり)は「十一面観音の里」と呼ばれ、100体を超える十一面観音があります。

隠れ観光スポット!!!

その中でも渡岸寺観音堂の十一面観音(平安後期、二枚目の写真)を観てビビっときました…
 


 


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