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イスラム映画祭で観たレバノン映画「そこにとどまる人々」

■2023/02/23 イスラム映画祭で観たレバノン映画「そこにとどまる人々」
「イスラム映画祭」は渋谷の映画館ユーロスペースで毎年この季節に行われる。

グローバル社会といわれていても、あまり情報が入らない中東の文化に触れる貴重な場です。


 
今回の映画祭でも、やはりイスラム社会での女性差別やLGBTの問題とともに宗教対立を扱った作品がて多かった。
 
その中でも、レバノンの女性監督エリアン・ラへブ監督のドキュメンタリー映画「そこにとどまる人々」は印象深かった…


中東といっても、かなり広い~~~

上映後のトークショーでは、

"レバノンという国は、中東の問題のについて考える入口になる"という話が…

レバノンは、南はイスラエル、北はシリアに隣接する岐阜県ほどの小国。

地政学的にも、社会的な緊張が高まりやすい場所。

聖書にはよくレバノン杉が出てくる…

あまり日本には縁のないところ???
と思われがちだが…

諏訪大社の御柱祭は、ユダヤ教の神殿建設のためにレバノン杉をエルサレムに運んだことに由来するという説もあったりする…


それはそれとして…

舞台はレバノン北部の山岳地帯。

主人公はマロン派キリスト教徒の老人ハイカル。
 
かつては、キリスト教徒とイスラム教徒が仲良くやっていたが…

1975年から15年続いたレバノン内戦、シリア危機、過激派の台頭により、

仲間のキリスト教徒、そして、妻や子供もこの地を離れ、ハイカルは一人で生活している…


単に、キリスト教とイスラム教という図式ではなく、

イスラム教の中のシーア派とスンニ派の対立もあり、

キスリト教の流れも、マロン派キリスト教とともにギリシャ正教会があって、

それぞれイスラムのどちらの派につくか、あるいは、シリアにつくか…

と状況はかなり複雑~~~

レバノン全体としては、イスラム教徒の方が多いが、

政治を牛耳っているのは、富裕層のマロン派キリスト教徒。

あのカルロス・ゴーンもその一人…
 
 
戦乱を恐れて妻や子供はこの地を去ったが…

“どうしてこの場所に留まるのか”

ラへブ監督もマロン派キリスト教徒なのだが、ハイカルの肩をもつことなく、排他的な意識をもつキリスト教徒に対する批判的なまなざしから踏み込んだ内容の質問をする…

もう一人のやはりマロン派のレバノン女性監督ナディーン・ラバキーと双璧をなす女傑???

中東の女性は手ごわいぞ !!!
 

基本的に中東の問題とは大昔から土地争い。

紀元前のアレキサンダー大王の時代から、多くの民族の興亡が繰り返されてきた~~~

ハイカルは、羊を飼育し、リンゴを栽培している。

生まれ育った土地への愛着が強いようだ。

大地は、食物を育み、水や資源を与え、私たちの生活に豊かな恵みを与えてくれるが…

同時に、大地は冨や利権に関わり、争いのもとにもなる。

さらに、大地に渦巻くマグマは、

地震や津波を引き起こす…

大地は光の女神であり、また、魔女でもあるような…

母なる大地がもつ二面性。

そのような矛盾をはらんだ大地の上で、私たちの人生が成り立っている。

イスラム社会も日本の社会も…
 
ジェンダーギャップ指数で日本は146か国中116位(世界経済フォーラム 2022年)

アラブ諸国とほとんど変わらない社会状況なのだ。


貧富の格差が広がり、またコロナ過も影響して個人主義が強まりつつある昨今、

日本社会にも無意識的なヒエラルキーや排他意識が作られているような…

イスラム文化圏と日本の社会構造は結構通底するものがあるような気がする。


 
 
 



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