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火病の国の映画『1980 僕たちの光州事件』

■2025/04/16 火病の国の映画『1980 僕たちの光州事件』
パク・チョンヒ大統領の暗殺をきっかけに韓国の光州でも民主化運動が起きる。

それに対して、軍部は高圧的に民衆の反乱を鎮圧しようとして発砲し暴力を振るう。

日本ではあまり知られていない1980年の虐殺の悲劇。



裏通りで中華料理店を開業したチョルス一家。

孫も生まれようとしていたが…

軍部の不穏な雰囲気を感じつつも、

チョルス一家やその周囲の人たちは韓国国内で何が起きているのか分からないまま…

アッという間に人々の関係が崩れ、絶望的な状況に巻き込まれる~~~
 

光州は全羅道という地域にある。

全羅道や済州島は歴史的に差別を受けてきた地域らしい。

また、中華料理店を営むチョルス一家には華僑の家系ということでの差別もあったのかもしれない。
 

やはり光州事件を描いた『タクシー運転手~約束は海を越えて~』にも共通することであるが、

民族的な悲劇を、ユーモアを交えて、ある意味コメディタッチで描いている~~~

そのあたり違和感を感じてしまう…

日本の映画ならもっとシリアスになるのではないか???

 
しかし、そのあたりの映画の表現からは、彼らの逞しさや生きる知恵を読み取ることもできる。

日本のような海に守られた島国とは違い、半島国家という地政学的なリスクを抱えた民族の苦難は歴史的に大きいものだった。

抑圧された感情が彼らの恨(ハン)の思想を育んだ…

恨はネガティブな感情とされるが、同時にその恨をエネルギーにもしてきた…


医学的にあまり厳密なものではないが、“火病(ファビョン)”と呼ばれる韓国の精神疾患がある。

「お腹の中から火が上がってくるような」症状からさらに不眠、パニック、鬱が生じる…

彼らの長年の恨が顕在化する疾患であり、韓国では火病専門外来もある。
 

人間は太古の昔に猛獣に襲われて、死に直面すると本能的に脳内モルヒネが脳内から出て、至福に包まれて安らかな死を迎えた。

そのような脳内のメカニズムは今も変わっておらず、人間は苦痛の中に快感が混じってしまうのだ。

攻撃する側もされる側も、そのような脳内の働きが暴走してしまう…

戦争やテロがなくならないのも、突き詰めると政治云々ではなく人間の脳内の問題ということができるのである。

『1980 僕たちの光州事件』は何が起きるか分からない今の世の中を生き抜く力を与えてくれる映画ともいえる。



 
 



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