適応障害とは精神障害の一種で、特定の状況などに強いストレスを感じ心身に不調をきたしてしまう病気です。
適応障害はそれを引き起こしているストレス要因から離れると、問題なく元気に過ごせることが多いです。そのため、ただ怠けているだけと誤解されやすい病気でもあります。
そのため、本人がきちんと病気のことを理解していないと、自責感から無理をして余計に症状を悪化させてしまう恐れがあるのです。
本記事ではうつ病との違いや、発症する原因、治療法など、適応障害について詳しく解説します。
適応障害について理解を深め、自身の心身の健康をしっかり守りましょう。
適応障害とは
適応障害とは、今自分が置かれている状況に適応できずストレスを感じ、心身のバランスが崩れて心身に不快な症状が出ている状態です。
生活習慣の変化や社会生活にうまくなじめないときに起こりやすいといわれています。
例えば職場の場合は、就職、転職、部署移動、上司との相性の悪さなどが原因となることが多いです。
日常生活においては、結婚や出産、引っ越し、家族との不仲や親しい人との死別などが適応障害の引き金となるでしょう。
このように、適応障害にかかわるストレス要因を自覚できていることが特徴です。
厚生労働省のe-ヘルスネットにも「適応障害の定義はストレスの原因が明確であること」と明記されています。(参照:厚生労働省 適応障害 | e-ヘルスネット)
ストレスから離れた場面では、症状が出ることは少なく普段通り生活できてしまいます。そのため、周りの人からは怠けているだけ、嫌なことから逃げているだけと思われがちです。また、転職や出産など、どうしてもストレスの原因から離れるのが難しいケースもあります。
責任感の強い人やまじめな人ほど、一人で抱え込み症状を悪化させてしまうため、周囲の理解とともにカウンセリングや認知行動療法など、できるだけ早い治療が望まれます。
適応障害の症状
適応障害の症状は、身体的にも精神的にも多岐にわたります。
精神的な不調 | 身体的な不調 |
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人によって上記のような症状が複合的におこるため、適応障害の症状といっても千差万別です。しかし、ストレスとなる原因が明確なので、その原因を取り除くことができるならばその後おおむね半年程度で症状は軽減していきます。
適応障害とうつ病の違い
適応障害とうつ病の症状は重なる部分が多いため、うつ病と思っていたら適応障害だったり、その逆だったりということも多いようです。
一番の違いは「楽しい」「うれしい」といった感情があるかどうかです。
適応障害はストレスになっている原因がはっきりしているため、その原因から離れれば楽しめたり、元気になったりします。
しかしうつ病は、ストレスの原因となるような環境から離れても、抑うつ状態が続き楽しいと思える瞬間がありません。
というのも、うつ病は脳のセロトニンという物質が不足することで起こると考えられるからです。セロトニンが不足すると何に対してもやる気がなくなります。好きだったことにも興味がなくなり、日常生活さえままならないこともあります。
一方、適応障害はセロトニン不足で起こるわけではありません。つらいと感じる環境や状況を避けさえすれば、好きなことを楽しめますし、日常生活も普通に送れます。
このようにうつ病は内因性、適応障害は外因性と発症のメカニズムが異なるのです。
発症の原因が違うわけで、適応障害とうつ病では治療法も異なります。
まずは医師による正確な診断が必要なのです。
適応障害の原因
先ほども少し触れましたが適応障害はその原因がはっきりしているのが特徴で、多くは外部的な要因です。
就職、転職、部署移動、親しい人との死別など自分の周りの環境の変化が原因となることが多いです。また、上司との相性の悪さや家族との不仲など、人間関係の悪化も適応障害を発症するきっかけとなるでしょう。
一見ストレスとは無関係そうな結婚や出産、引っ越し、昇進といった出来事もストレスの要因となり得ます。例えば、昇進は本来喜ばしいことですが、同時に多くの責任を負うことでもあります。今までのような働き方ができなくなったり、新しい部下とうまくいかなかったり、ストレスが積み重なってしまうと、そのポジションでいることがつらくなってしまうのです。
このように、適応障害は自分が置かれた状況にうまく適応できず心身のバランスが取れなくなる病気なのです。
適応障害の治療法
適応障害の治療では、ストレスの原因からできるだけ早く離れることが基本になります。
しかしながら、社会生活の中では、そう簡単に仕事を休んだり、転職・転校したりすることはできないものです。
また、家庭内の問題であれば、日々そのことに向き合わざるをえないでしょう。
不安や抑うつが強い場合には、抗うつ薬や抗不安薬が処方されることもあります。しかし、適応障害からの根本的な回復のためには、薬物療法よりもカウンセリングが効果的といわれています。
まず、モヤモヤ、イライラしている自らの問題を言語化し、第三者であるカウンセラーに話すことだけでも、心の整理になります。カウンセリングにおいては、認知行動療法や精神分的な手法を使って、思いがけない解決策が提案されることもあります。さらに、今の問題の背景にある生い立ちや過去のトラウマにもフォーカスして、より根源的な解決をはかっていきます。
つらい状況を我慢して、ストレスが続くと適応障害のみならず、身体的な疾患にもつながってしまいますので、カウンセリングによってストレス耐性を高めることが必要なのです。
適応障害の根本治療にはカウンセリングが有効
今回は、適応障害の原因、症状や治療法についてお伝えしてまいりました。
適応障害は、特定のストレスによって心身の不調が引き起こされる精神障害の一種です。
なんとなく気分が優れないというわけではなく、不調の原因が明確です。そのため、治療法はストレスとなる環境要因から離れて休養するのが基本となります。
しかしながら、現実の社会生活の中ではストレスがかかる環境から簡単には離れられないことが多いものです。
また、一時的にストレス要因から離れられても、今後さらなるストレス状態に置かれてしまうことは当然ありうることです。
心理相談室セラペイアでは、カウンセリングによって、適応障害を引き起こしてしまうような思考の歪みや行動パターンを認識して頂き、その根底にあるトラウマ治療をなしていきます。さらに、「私は何をしたいのか」「私はどう生きたいのか」というクライアントの本心に気付いて頂き、将来に向けてのビジョンをもつことでストレス耐性を高める方向へと導いてまいります。
心理相談室セラペイアでは適応障害を根本的に解決していくカウンセリングをおこなっています。ぜひご相談ください。