トラブルから逃げ出してしまうことや、作業を途中で投げ出してしまいがちな性格を「逃げ癖」といいます。
逃げ癖がつくと日常生活や仕事にも支障が出るため、克服したいと考えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、逃げ癖がある人に共通している点や、カウンセリングをはじめとした改善方法などを紹介します。
逃げ癖を改善したいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
そもそも逃げ癖とは
逃げ癖とは、ストレスや難しい問題に直面した際に、現実から逃げるような行動を取り、それを習慣化してしまっている傾向を指します。
問題の解決や向き合い方を考える前に、逃げることが習慣化してしまって「ナアナアでいたほうが楽だ」という一時しのぎの行動パターンというとわかりやすいでしょう。
逃げ癖がある人は、たとえば問題が起こった時に逃げたり、避けたり、言い訳をしたりすることが多く、そのために解決策を見つけることができず、問題が長期化してしまうこともしばしばあります。
全般的に、逃げ癖がある人は、ストレスにさらされた状況に弱い、つまり、「ストレス耐性が低い」あるいは「心の免疫力がない」という傾向があります。
「ストレス耐性の低さ」の原因としては、生まれ持った体質・性質ということも関係しますが、過去の失敗体験や幼少期のトラウマの影響というものが大きいものです。
過去のトラウマの結果、自己肯定感が低くなり、周囲からの評価が気になり、自信がもてないと、逃げ癖にハマっていきます。
逃げることはすべてが悪いわけではない
もっとも、逃げることがすべて悪いということではありません。現代はストレス社会であり、様々な場面で緊張を強いられることが多いものです。
常に気を張り詰めていたら病気になってしまいます。自分の体調を守り自分らしさを保つためには、リラックスできる生活空間やストレスを発散させる趣味やスポーツ、マッサージなど…健全な意味で「逃げ道」を用意しておくことは必要なことです。
常にポジティブ思考、前向き志向だけでは、息切れしてしまうこともあるでしょう。
ときには人に愚痴をこぼしたり、適度にアルコールを飲んだり、ボーとしている時間があったりしてもいいかと思います。
逃走は闘争に通じる
ただ、本来逃げる必要のない状況でも逃げることが習慣化し、一つの行動パターンになった逃げ癖は、さらに状況を悪化させるリスクがあるということなのです。
適切に物事を処理しておかないと問題が長引いてしまい、社会的交流や日常生活に支障をきたすのであれば、やはり積極的に解決した方がいいわけです。
「逃走」と「闘争」という2つのトウソウは裏表の関係にあります。
逃げてばかりでいると心の中のわだかまりが溜まってしまい、そのわだかまりが怒りの感情に変容して、ときには変なかたちで爆発してしまうことがあるのです。
逃げてばかりの自分自身に嫌気が差して、自分を責め、うつ状態になったり、自傷行為に走ったりします。
また、怒りが他人や社会全体に対して向いてしまい、人間関係を悪くすることもあります。
逃げ癖は心のバランスが極端に傾き、崩れてしまった状態であり、破滅的な結果に通じるリスクがあるのです。
逃げ癖がある人に共通している特徴とは?
「トラブルや面倒なことを放置して解決せずに逃げ続ける」ということを繰り返すと、物事に対して向き合うことができない「逃げ癖」がついてしまいます。
「自分には逃げ癖があるかもしれない」と思われている方は、これから共通して見られる特徴を説明しますので、ぜひご確認ください。
特徴①面倒くさがり
逃げ癖のある人は、面倒くさがりの人が多い傾向にあります。
たとえば、仕事でトラブルが発生した際に、一般的には「トラブルを解決しよう」「原因を探そう」と考えます。
しかし、面倒くさがりな人は、トラブルが発生しても真摯に向き合わず「なんとかなるだろう」「面倒だから誰かに任せよう」という考えを持ってしまうのです。
責任から逃れようとして、現実から目を背けたり、逃げ出す選択を繰り返しまうと、問題を解決する能力や物事を真剣に取り組む能力が身につきません。
特徴②飽きっぽい
物事を途中で投げ出してしまいがちな飽きっぽい性格の人も、逃げ癖のある人が多いです。
飽きっぽい性格の人は、仕事や勉強などに最初は真剣に取り組むものの、途中で作業が面倒になってしまい、別のことを始めてしまいがちです。
その結果、物事を根気よく解決するために必要な継続力が身につかず、逃げ癖がついてしまいます。
特徴③言い訳をしがち
責任を求められた際に、自分を正当化しようと言い訳をしがちな人も逃げ癖があることが多いです。
物事に失敗した場合、多くの人は自分の間違いを認めたうえで、解決策や予防策を見つけようとします。
しかし、言い訳をしがちな人は「自分は悪くない」と責任を転嫁し、解決策や予防策を見つけようとしません。
言い訳をすることや責任を転嫁することが多くなると、問題を解決する能力や物事に対して真摯に向き合う能力が育たず、問題を先送りにしてしまうのです。
特徴④失敗を恐れる
失敗を恐れてしまう人も、逃げ癖がつきやすいです。
失敗を恐れてしまいがちな人は自己肯定感が低く、トラブルに直面すると「解決できなかったらどうしよう」「どうせ成功しない」とマイナス思考に陥ってしまいます。
その結果、トラブルの解決策を見つけられないことや、物事を解決しようとせずに、途中で諦めてしまうのです。
失敗を恐れるあまり、ネガティブな思考が働いてしまうと、トラブルを解決する能力や原因を探ろうとする精神が育まれないのです。
逃げ癖がつくことで生じる問題
心身の負担を軽減するために、物事を楽観的に考えることやトラブルから逃げ出すことは、必ずしも悪いことではありません。
しかし、この考え方によって日常生活や会社などで不利になってしまう場合があることも覚えておいたほうがよいでしょう。
逃げ癖がつくことで生じる問題には以下のようなものがあります。
問題①周囲からの印象が悪くなる
逃げ癖がある人は「仕事を依頼しても途中で投げ出す」「面倒ごとを押し付けてくる」といったネガティブな印象を持たれてしまいやすいです。
周囲からの信頼を失ってしまうことで、会社での評価が下がることや上司からの当たりが強くなることも考えられます。
会社での人間関係を円滑にしたい場合や、出世を目指したい場合などは克服することをおすすめします。
問題②自己嫌悪に陥りやすい
トラブルから逃げ続けてきた人は物事を解決する力が低く、物事をマイナスに捉えやすい傾向にあります。
「周囲の人にできたことが、自分にはできなかった」「またトラブルから逃げてしまった」と自己嫌悪に陥ってしまうことも少なくありません。
その結果、ネガティブな感情が強くなってしまい、うつ病や双極性障害といった精神疾患を患うこともあります。
こちらの記事ではうつ病について詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
参考記事:うつ病にカウンセリングは効果的?うつ病についても詳しく解説!
問題③セルフネグレクトになる危険性がある
逃げ癖による自己嫌悪が悪化すると、生活環境や栄養状態が悪化していても助けを求めようとしない「セルフネグレクト(自己放任)」という状態になる可能性もあります。
セルフネグレクトは判断力や身体機能の低下を引き起こすだけではなく、悪化すると自ら命を絶ってしまうこともある危険な状態です。
逃げ癖がセルフネグレクトに発展しないためにも、早い段階で改善することが重要です。
逃げ癖を自分で克服する方法
逃げ癖を克服するためには、日常生活における行動や習慣を変えることも重要です。
逃げ癖を自分で克服する場合は、以下のことを心がけましょう。
方法①成功体験を繰り返す
自分で立てた目標を達成するといった成功体験を繰り返すと、自己肯定感が生まれ自信が持てるようになります。
自信が持てるようになると気持ちが前向きになるので、トラブルに直面しても真摯に向き合えるようになるでしょう。
ただし、最初から大きな目標を立ててしまうと、達成できなかった場合に自信を失ってしまう可能性もあります。
そのため、最初のうちは「毎日30分ウォーキングをする」「1週間に本を1冊読む」など、達成可能な目標を立てることをおすすめします。
方法②新しいことにチャレンジする
スポーツや旅行、楽器など興味があることに積極的にチャレンジすると、視野が広がって考え方がポジティブになります。
たとえチャレンジに失敗してしまっても人生において貴重な経験になりますし、チャレンジした自分を褒めてあげることで、逃げ癖がある人でも自己肯定感も高まるでしょう。
チャレンジする内容は身近なものでもよいので、まずは気軽にできるものからチャレンジすることをおすすめします。
方法③自分の理想像を周囲の人間に知らせる
「自分はこのような人間になりたい」という理想像を、家族や友人に共有することも1つの改善方法です。
家族や友人に情報を伝えることで、掲げた目標から逃げづらい環境に身を置くことができます。
ただし、この方法は人によってはプレッシャーになる可能性もあるので、心身に余裕がある場合におすすめします。
逃げ癖の克服にはカウンセリングがおすすめ
逃げ癖を克服する改善方法にはさまざまなものが存在しますが、なかでも心療内科やカウンセリングルームでカウンセリングを受ける方法は特に効果的です。
逃げ癖がある人は、これまでの人生のなかのトラウマ・失敗体験からネガティブ思考や責任回避の傾向が身についてしまっていることが多い傾向があります。
また、自分が本心からやりたいことが見つからないために、やる気が出ないということもあります。
このような問題は、適切な心理カウンセリングを受けることで十分に解決可能なことです。
カウンセラーに親身になって話を聞いてもらい、客観的なコメントをもらうことで、自らの長所に気づき、対人関係も次第に改善されていくことでしょう。
逃げ癖の克服に効果が期待できる「FAPカウンセリング」とは?
逃げ癖を克服するために行われているカウンセリングにはさまざまな種類がありますが、近年では脳科学の成果と東洋医学を統合した「FAPカウンセリング」が注目されています。
FAPとは、「Free From Anxiety Program」の頭文字をとったもので、「不安からの解放のプログラム」という意味です。
FAPカウンセリングの特徴は以下の通りです
FAPカウンセリングの特徴
- カウンセラーが指先の経絡からクライアントの感情を読み取るもので、身体レベルでの深い共感を生み出すことができるセラピー
- 過去の苦しい思い出を無理に告白するようなことなく、逃げ癖を引き起こさせている根深いトラウマの解消に効果的
- 絵画やイメージを活用してクライアントの隠れた長所を明らかにすることで、将来のビジョン設計をサポートし、やる気や活力を引き出す
- 食事や生活習慣の改善など、心の問題に密接に関係がある身体の状態に対するアプローチも行う
FAPカウンセリングは、逃げ癖に対してはもちろん、PTSDやうつ病、パニック障害、対人恐怖など心の問題全般に効果があり、前向きな生き方を発見するために非常に有効です。
逃げ癖を克服したい場合はカウンセリングがおすすめ
いかがでしたでしょうか。
作業を途中で投げ出してしまいがちな性格である「逃げ癖」は、必ずしも悪いことではありません。
しかし、トラブルから逃げ続けることを繰り返すと、物事を解決する能力が身に付かず、周囲からの印象が悪くなることが多いです。
また、逃げ癖は悪化することで精神を病んでしまうこともあるので、なるべく克服することをおすすめします。
逃げ癖を治したいと思っている方は、専門家に相談し、自分と向き合う時間を作りましょう。
相談することは恥ずかしいことではありません。
心理相談室セラペイアでは、逃げ癖をはじめとしたさまざまなお悩みを改善させるためのカウンセリングを行っています。
大田区でカウンセリングをお探しの方は、蒲田駅・大森駅最寄りの心理相談室セラペイアまで、ぜひ足を運んでみてください!