依存症にカウンセリングは効果的?特徴や原因も詳しく解説!
「依存症にカウンセリングは効果的?」
「そもそも依存症ってどんな状態?」
「依存症になってしまう原因を知りたい!」
さまざまな種類がある依存症。
お酒やギャンブル、セックスなど、その分野は多岐にわたります。
本記事では、依存症の特徴や原因、 効果的な治療方法について詳しくお伝えしていきます。
依存症で悩んでいる方や身近に依存症患者がいる方、カウンセリングを検討している方はぜひ最後までご覧ください。
そもそも「依存症」とはどんな状態を指す?
そもそも、依存症とはどのような状態なのでしょうか。
臨床心理学の世界では、依存症は「対象物質などに過度に依存して不適応に陥る状態」と定義づけられています。
この「不適応」とは、たとえば日常生活に支障をきたしたり、精神的に不安定な状態になったりすることを指します。
依存症は周囲の人間をさまざまなかたちで巻き込むため「関係性の病気」とも呼ばれます。
さらに、依存が原因で問題を起こしているという自覚に欠けることが多い点から「否認の病気」といわれることもあります。
「共依存」という言葉もありますが、依存症とは意味が全く異なります。
こちらの記事では共依存とは何か、対処法についても詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
参考記事:共依存とは?対処法やカウンセリングの効果を紹介
「依存症」の3つのタイプ
さまざまな依存の対象があるわけですが、それらは下記の3つのカテゴリーに分類されます。
- アルコールや薬物など特定の物質への「物質依存」
- ギャンブルや買い物などのスリルを楽しむ「プロセス依存」
- 恋愛やSEXなどで承認の欲求を満たしたいという「対人関係依存」
依存症によるさまざまな影響
依存症が具体的にどのような状態なのかわかったところで、ここからは依存症が引き起こす影響について解説していきます。
そもそも、俗にいう「ハマっている状態」と「依存症」の境界線はどこにあるのでしょうか。
その答えが、まさに先ほど説明した「不適応に陥っているかどうか」です。
自分で欲求をコントロールできず、自分や家族の生活に支障をきたしている状態。
たとえば、仕事や家族の時間を蔑ろにしてしまったり、生活のお金まで依存対象に使ってしまったり。
優先順位がわからなくなる、あるいはわかっていても制御できなくなってしまいます。
適度に趣味などに「ハマっている状態」は楽しいものであり、健康的といえますが、依存症は身体的な悪影響ももたらします。
特にアルコール依存症、薬物依存症は命に直接関わるものです。
依存症の3つの要因
ここまで依存症がどんな状態か、そして依存症による影響について解説してきましたが、ここからは依存症を引き起こす要因について見ていきましょう。
依存症には、「物質依存」「プロセス依存」「対人関係依存」のタイプがあると先にいいましたが、いずれの場合も根本的には同じ病理といえます。
あらゆる依存症は、以下の3つの側面を合わせもっているのです。
- 心理的要因
- 社会的要因
- 生物的要因
それぞれの要因の特徴についてひとつずつ確認していきましょう。
要因①心理的要因
1つ目に解説するのは「心理的要因」です。
心理的要因とは、不安や虚無感、孤独感といった心理的な負荷を解消するために依存していく内面的な状態です。
発達心理学的な視点からいうと、胎生期9カ月から生後24か月あたりまでの出来事は、人間の根本的な気質に大きな影響を与えると考えられています。
赤ちゃんは本当はお母さんのオッパイがほしかったのに、その欲求が満たされないと、指しゃぶりをする。
魚が毛バリに食いつくようなもので、欲求を代用物で満たそうとする。
指しゃぶりがアルコールや薬物の依存、あるいはギャンブルや買い物への依存に発展する。
また、母親の肌のぬくもりを求めて恋愛やセックスにのめり込むようになります。
要因②社会的要因
2つ目に解説するのは「社会的要因」です。
依存症者の心の根底には、お母さんにもっと愛されたかったという気持ちがありますから、大人になっても社会生活の中で他者のまなざしが気になってしまいます。
他者から認められたいという承認の欲求が強いのです。
そのため、家庭、職場、友人関係などでの対人関係がうまくいかず、そのストレスがさらに依存行為を増幅させてしまうことになるのです。
また、すでに依存症の家族がいる、依存症までには至らずともアルコールやギャンブルなどを好む人が身近にいる、普段の生活区域でパチンコ店を目にする機会が多い、といった環境要因は依存症の発症のきっかけになりうるものなのです。
要因③生物的要因
3つ目に解説するのは「生物的要因」です。
生物的要因とは、身体反応としての依存状態を指し、脳生理学的な立場からの視点です。
具体的なプロセスは以下のとおりです。
- 物質や行為を享受する
- 神経伝達物質「ドーパミン」が分泌される
- ドーパミンにより強い快感を得る
- その高揚感や快感を求めて再度物質や行為を享受する
- 1〜4を繰り返すうちに刺激に慣れて快感を得にくくなる
- より多くの物質や行為を求めてさらなる不適応に陥る
依存症とは、上記のプロセスを反復することにより、脳内の快楽神経系が過剰興奮してしまい、制御不能になっている状態なのです。
依存症の方のカウンセリングについて
ここまで、依存症の概要や要因について解説してきました。
依存症の治療の基本はやはり「依存対象を断つこと」です。
しかし、本人の意思だけではそれは不可能です。
意思の弱さとか甘えとかいうことではなく、本人がどうしても制御できない状況が依存症なのです。
一般に、依存症からの回復には自助グループへの参加が有効であり、また、重度の場合は、依存症の専門病院への入院が必要とされます。
また当然、それには家族の理解や協力も必要不可欠といえるでしょう。
依存症者に個人的なカウンセリングは必要なのでしょうか。
ここからは、依存症の方のカウンセリングについて以下の2つに分けて解説していきましょう。
- カウンセリングのプロセスと効果
- カウンセリングの対象になる人
それぞれ詳しく見ていきましょう。
こちらの記事ではカウンセリングを受ける際の流れや効果について詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
参考記事:カウンセリングとは? 受ける際の流れやメリットについて解説
カウンセリングのプロセスと効果
カウンセリングをすることで、どのように進行し、どのような効果が期待できるのでしょうか。
ここでは、以下の3つのプロセスについて解説していきます。
- 心の中にある悩みを言語化する
- 依存症の背景にあるものを知る
- 依存症の根底にあるトラウマを癒す
それぞれ見ていきましょう。
効果①心の中にある悩みを言語化する
依存症の回復には、まず自らの心の中にある空虚な思い、絶望感を言葉にすることが必要です。
自らの内面のネガティブな感情を表現することが依存症回復の第一歩になるのです。
そのためには、依存症の悩みをもつ人々が集まって、心の悩みをシェアし合う自助グループが効果的だといわれます。
ただ、グループへの参加は苦手で個人的に話を聞いてほしいという人も結構多いものです。
また、個人的なカウンセリングでは、カウンセラーとの共同作業によって心の中にあるものをより深く掘り下げて言葉にしていきます。
依存症に至った心の中のメカニズムを認識することで、依存症に向き合うことができるようになるのです。
効果②依存症の背景にあるものを知る
カウンセリングを通して、依存症に至るまでの幼少期からの生い立ちに目を向けていきます。
その中で、どのような状況になると依存行為が起きやすいのか、そのときどのようなネガティブな思考のパターンに陥ってしまうのか、といったことについて気づきが生まれます。
さらに、依存症により対人関係のあり方にどのような影響がでてしまっているのか内省していきます。
効果③依存症の根底にあるトラウマを癒す
先に述べたとおり、依存症の根底には、幼少期の母親との満たされなかった関係というのもがあります。
自助グループではその関係を見つめる作業をしていくのです。
しかし、個人カウンセリングおいては、さらに積極的にトラウマ治療のワークができます。
過去のトラウマが癒されることで、依存行為を克服し、本来のその人らしい生き方が可能になるのです。
カウンセリングの対象になる人
ここまで、依存症の方へのカウンセリングで期待できる効果を紹介してきました。
しかし、依存症へのカウンセリングの有用性は依存症患者本人に限りません。
ここからは、カウンセリングの対象になる人を具体的に紹介していきます。
それが以下の3つです。
- 依存症に現在進行形で苦しんでいる人
- 依存症の疑いがある人
- 依存症者を抱える家族
それぞれ確認していきましょう。
対象①依存症に現在進行形で苦しんでいる人
当然、依存症に苦しんでいる人はカウンセリングの対象者です。
現代は、従来の依存症に加えて、スマホ依存、ゲーム依存も脳に悪影響を与えるということで社会問題になっております。
まずは自分が依存症であると自覚することから始めましょう。
対象②依存症の疑いがある人
すべての病気は早期発見が大切です。
依存症も例外ではなく、疑いがある時点でカウンセリングを受けることは有効です。
幼少期の家庭環境に問題があった…
なんとなく、口もとが寂しい…
人間関係がうまくいかない…
何をやっても心が満たされない…
甘いものがやたらに欲しい…
そのような悩みがあれば、一度はカウンセリングを受けることをお勧めいたします。
対象③依存症者を抱える家族
家族のメンバーはお互いに無意識レベルでつながっていて良い意味でも悪い意味でも影響を与え合っています。
依存症者が回復することで、依存症者個人のみならず、家族全体が良き方向に向かうものなのです。
また、依存症者以外の家族のメンバーがもっている悩み事が解決すると、依存症者も回復するということがよくあるのです。
ときには家族の複数のメンバーに集まってもらい、家族関係を調整する家族療法としてのカウンセリングが有効になることもあります。
依存症に悩む本人も依存症患者の家族もまずはカウンセリングを
依存症は誰しもなりうるものであり、一度なってしまうと、その後に悪癖を絶ったとしても、心の中ではその誘惑を完全には消し去ることはできない恐ろしい病です。
早期発見、早期治療ということで少しでもその兆候がみられれば、カウンセリングを受けることをおすすめ致します。
カウンセリングは、依存症患者本人のみならず、少しでもその疑いのある人や患者の家族にも有効です。
依存症の治療は家族の協力が不可欠であり、本人以外の家族のメンバーがカウンセリングを受けることが思わぬ効果を発揮することがあるのです。
心理相談室セラペイアでは、さまざまな悩みをお持ちの方に向けてカウンセリングをしています。
カウンセリングをご希望の方は、お気軽にご相談ください。