虚言癖とは?特徴やカウンセリングをはじめとする対処法を解説!
人間生きていれば、嘘のひとつやふたつはつくでしょう。
しかし、なかには日頃から異常なまでに嘘をつく人もいます。
そこで本記事では、虚言癖の特徴から、虚言癖の方が抱えているかもしれない障害、自他に分けた対処法まで解説します。
周りに虚言癖の方がいる、自身が虚言癖であると自覚している方は、ぜひ参考にしてみてください。
周囲から嘘つきと言われてしまう虚言癖とは
虚言癖とは、本人も制御不能なほど頻繁に嘘を吐いてしまうという病態・人間的性質を表す言葉です。
虚言癖自体は疾患や障害を表す言葉ではありませんが、本人も気づかないほど虚言が多い場合や、気づいているけれど嘘を吐かずにはいられない場合などは、カウンセリング機関などの専門家に相談する方が良いでしょう。
虚言癖の背景には、後述するとおり、パーソナリティ障害系の疾患や精神病圏の疾患があることが考えられます。
虚言癖は自身の気持ちで治せる?
虚言癖を治すことは簡単なことではありません。
しかしながら、当人が虚言癖によって人間関係が破綻したり、不利益を被っていることを自覚しているならば、自らの努力によって克服することも可能です。
- 嘘を吐く原因を探る
- 嘘で周りの人が傷ついていることを受け止める
- 嘘を吐くことで自分は具体的にどんな不利益を被っているのかと自覚する
そして、こうした自覚を持つだけではなくて、それらを紙に書きだすことが有効です。
紙に書きだして内省し、嘘を吐きたくなる瞬間、グッと飲み込める場面を徐々に増やしていきましょう。
嘘を吐かなくても、誰もあなたを攻撃しません。
むしろ、嘘を吐くことであなたは不利益を被ってしまうのです。
虚言癖の特徴
虚言癖の概要について述べましたが、この先はさらに具体的な虚言癖の特徴について見ていきましょう。
- 八方美人
- 勘違いが激しい
- 目立ちたがり屋
それぞれ、場面を想定しながら確認してみてください。
相手によって振る舞いを変える八方美人
関わる相手によって態度を二転三転と変える八方美人は、相手に喜んでほしいといった気持ちから嘘をついたり巧言令色な言葉を並べたりしてしまいます。
あまりにも虫がよすぎる話をしていたり、一貫性がない話をされたりしたときは簡単に話を信じることのないように注意しましょう。
思い込みや被害妄想など勘違いが激しい
虚言癖の人は少し気遣いをされただけで自分に好意があるのではないかと勘違いしてしまうこともあります。
他者から勘違いだと指摘されてもそれを聞かずに己の意見や考えばかりを信じてしまう傾向もあるでしょう。
自己顕示欲が強く目立ちたがり屋
虚言癖の方は自分の能力をアピールしたいというように自己顕示欲が強いことも多く、学校や職場の行事などでリーダーに立候補したり、自分をより良く見せようとオーバーに話したりしてしまいます。
さらに、自分ではないほかのものに注目が集まると途端に機嫌が悪くなる傾向もあります。
虚言癖のタイプ
虚言癖というのはそのネーミングから軽んじられることも多いですが、そもそも虚言癖を生じさせる原因や問題があるはずです。
そして、その原因が精神障害・パーソナリティ障害である可能性も考えられます。
ここでは、考えられる以下の4つの障害の特徴を見ていきましょう。
- 虚偽性障害
- 演技性パーソナリティ障害
- 妄想性パーソナリティ障害
- 反社会性パーソナリティ障害
それぞれ解説していきます。
自分や子どもが病気であると装う虚偽性障害
虚偽性障害は、実際はない心身の症状を訴えたり、症状を誇張したり、自傷行為により医師や周囲の家族からから病人扱いされることで満足感を得るという症状があります。
その中でも特に重篤で慢性的なものを、18世紀にドイツで「ほら吹き男爵」の異名をもっていたミュンヒハウゼン男爵に因んで、ミュンヒハウゼン症候群といいます。
さらに、自分の子どもや飼っているペットを虐待し、病気に仕立てておいて、懸命に看病する姿を見せることで周囲の気を引こうとする(代理ミュンヒハウゼン症候群)こともあります。
自分をより良く見せるために虚言する演技性パーソナリティ障害
演技性パーソナリティ障害は、現実の自分よりも能力があるように見せるために嘘をつく障害です。
権力者と知り合いであるかのような話をすることも多いですね。当人は嘘をついているという自覚がなく不自然さを感じさせないため、周囲の人達は信じ込んでしまいます。カルト宗教の教祖にも多いといわれます。
また、他者の意見を受容しやすく、他者の注意を引くため服従的に行動しやすいという特徴もあります。
信憑性が疑われる妄想を信じ込む妄想性パーソナリティ障害
他者が自分に害を与えようとしているのではないかではないか、騙そうとしているのではないかと疑心暗鬼になるなどの症状がある障害が、妄想性パーソナリティ障害です。
その結果、不確実な妄想を現実だと思い込み、嘘をついてしまうという特徴があります。
自身のさまざまな欲望を満たすために嘘をつく反社会性パーソナリティ障害
反社会性パーソナリティ障害の症状は、自分の欲求のため人を欺き近づいてお金を騙し取る、社会的なルールから外れた思考や考えを持つといったものが挙げられます。
一般にサイコパスと呼ばれている人は、この反社会性パーソナリティ障害のカテゴリーに入り、詐欺などの犯罪行為にはしる人も多いのですが、一方で、リストラや一方的な政策を断行する経営者、政治家など実社会で活躍している人の中にもいるとされます。
パーソナリティ障害以外の重篤な精神疾患
またときには、より重篤な疾患が潜在している可能性もあります。
妄想と現実の区別がつけられず、支離滅裂な話になってしまう統合失調症や、心の中の人格が入れ替わって、別の人格が話したことが周囲から嘘つきだと誤解されてしまう解離性同一性(多重人格)障害であるケースも考えられます。
自らの虚言に気づいている場合の対処法
一方で、自分自身が虚言癖であることを自覚している方も一定数いるでしょう。
そういった方の多くは、自らの虚言癖に苦しんでいるかもしれません。
ここでは、以下の5つのアプローチから、自分自身の虚言癖に対する改善策を考えていきましょう。
- 自分がつきやすい嘘の種類を自覚する
- 自分がついた嘘がばれていることを自覚する
- 自己肯定感を高める
- 可能であれば友人に打ち明ける
- カウンセリングを受ける
それぞれ見ていきます。
対処法① 自分が吐きやすい嘘の種類を自覚する
虚言癖とは、兎にも角にも平気で嘘をつく人間の性質です。
根本から直すには、まず自分のついてしまう嘘のタイプを分析しましょう。
そこから自分の無意識に考えていることや心理などが見えてきます。
対処法② 自分がついた嘘がばれていることを自覚する
自分をよく見せようとしてついてしまった嘘が本当になる可能性も、バレることなく自分の信頼が上がる可能性も、ないに等しいということをまずは念頭に置いておきましょう。
嘘は重ねれば重ねるほどバレたときに自分の信頼度が下がります。
嘘は必ずバレると思っていた方がよいでしょう。
まずは考え方を変えるところから始めましょう。
対処法③ 自己肯定感を高める
自分に自信がないからこそ見栄を張って嘘をついてしまいます。
人にはそれぞれ個性があり、みんな違ってみんないいという言葉も存在します。
虚言癖のある人にも必ず良いところ、誇れるところがあるはずです。
まずは自分に自信を持つことが大事です。
対処法④ 可能であれば友人に打ち明ける
虚言癖を自覚している人の中には、大切な友人に嘘をついてしまうことに引け目を感じている人もいると思います。
その場合は、虚言癖で悩んでいることを正直に打ち明けてみるのも手でしょう。
そこで親身になって話を聞いてくれたり、自分の虚言を理解して適切な対応をしてくれたりする可能性があります。
対処法⑤ カウンセリングを受ける
どうしても虚言癖を治療したいと考えている人は、カウンセリングを受けることをおすすめします。
一度根付いた癖は簡単には治すことができません。どうして嘘をついてしまうのか、その結果、信用を失い自分を苦しめてしまうのか、カウンセラーの分析によってその根底にあるメカニズムを明らかにすることで、改善する可能性があるのです。
こちらの記事ではカウンセリングを受ける際の流れや効果について詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
参考記事:カウンセリングとは? 受ける際の流れやメリットについて解説
周りの人間関係に虚言癖の方がいる場合の対処法
では、実際に虚言癖の方が周りにいる場合、どのように接すればよいのでしょうか。
有効な方法は以下の3つです。
- 話を信じ切らない
- 距離感を取って接する
- 冗談めかして疑ってみる
それぞれ詳しく説明していきます。
対処法① 話を信じ過ぎない
虚言癖の方は息を吐くかのように嘘をつきます。話のどこまでが本当かわかりません。
そのため「嘘をついているそぶりはないから」と完全に信じ切ると後から「嘘だった」「騙された」といった事態になりかねません。
都合がよすぎる話は信じ切らないようにしましょう。
対処法② 一定の距離感を保って接する
虚言癖の人が話す内容に対してオーバーリアクションを取ったり、話に共感しすぎたりすると、それが嬉しくなり次々と大げさな嘘をつく可能性があります。
相手が不快にならない程度に軽く話を流すとよいでしょう。
対処法③ 冗談めかして疑ってみる
なんでも「そうなんだ!」と信じているかのように対応すると「なんでも信じる人」というレッテルを張られ、何度も嘘を吐き続けられる可能性もあります。
冗談っぽく疑っているそぶりを見せることも効果的です。
対処法④ カウンセリングを受ける
今まで何度も人に騙されてきた、気をつけていてもうまい話に巻き込まれてしまう、というような人もいます。そのような人の特徴として、「セルフイメージが低い」「自分の本音が分からない」「周囲の影響を強く受けてしまう」「相手に支配されてしまう」といった傾向があげられます。
カウンセリングを受けることで、そのような性格がどうしてできたかを顕在化し、トラウマ治療や未来に向けての目標設定などをすることにより、人に振り回されることなく、本来の自分らしい生き方をすることは可能です。
対処法⑤ 反復して聞き返す
最後に紹介するのは反復して聞き返すという方法です。
これには、さまざまなメリットがあります。
- 大袈裟なことをいっていると自覚してもらえる可能性がある
- 反論したり話を盛ったりすることによる新たな嘘を防げる
- 嘘がバレていることを察してもらえる可能性がある
簡単な方法でありながら、虚言癖当事者本人のためにもなる対処法です。
カウンセリングを受けることは虚言癖の治療に本当に有効なのか
虚言癖のパターンは大きく分けて以下の2種類存在します。
- 平然と嘘をついてしまう、嘘をつかずにはいられない(虚言癖の自覚があるタイプ)
- 嘘をついている自覚はあるが異常であると気づいていない、自分が嘘をついていることを気づいていない(虚言癖の自覚がないタイプ)
カウンセリングを受けようと思うのは、ほとんど前者のタイプ、虚言癖の自覚があり、なんとかしたいと思っている人です。
虚言癖の自覚のない人も、周囲の人の勧めでカウンセリングを受けることもあるかもしれませんが…
先に虚言癖に関係する障害として虚偽性障害、演技性パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害の四つをあげました。
この4つは重複する部分もあり明確には区別はできないのですが、カウンセリングの効果が期待できるのは、主に虚言癖の自覚のある虚偽性障害のケースです。
虚偽性障害の背景には何らかのトラウマがあることが考えられます。
トラウマの影響により「見捨てられ不安」という感情が強くなり、周囲の人達の注目を引くような嘘をついてしまうというパターンはよくあるものなのです。
カウンセリングの中で適切なトラウマ治療をすることで虚言癖の改善は可能です。
虚言癖はカウンセリングで治せる
虚言癖によって、自分らしく生きることができていない、社会的にも損失を受けてしまっているとお悩みの人にはカウンセリングはとても有効なものです。
専門家のもとで、適切な対処を受けましょう。
心理相談室セラペイアでは、トラウマ治療に特化したFAP療法を中心にしたカウンセリングによって、虚言癖を根本的に改善してまいります。
カウンセリングをご希望の方は、お気軽にご相談ください。