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心理学コラム

トラウマによる心の傷はカウンセリングで克服できる?

過去の出来事がトラウマとなり、毎日ふとしたことがきっかけで思い出して、つらい気持ちになってしまっていませんか?

そのつらい気持ちは、カウンセリングを受けることで解決の糸口が見つかるかもしれません。

 

この記事では、トラウマとはそもそもどのようなものなのか、カウンセリングではどのように解決に導けるのかということを解説します。

過去のつらい記憶でお悩みの方はぜひ最後までご覧ください。

 

トラウマとは

トラウマとは、「心的外傷」を意味します。

 

トラウマは、その人の生育歴の中で、死を感じるほどの恐怖や、人としての尊厳を大きく損なわれて無力感を覚えるような大きな出来事に直面したときに体験する「心の傷」だとされています。

もっとも、客観的にそれほど大きな出来事はなくとも、日々の対人関係の中で、多かれ少なかれ私たちは「心の傷」を負っているものです。

 

人間の心とは?

そもそも人間の心とは何か、ということについては、未だに明確な定義はありませんが、脳を中心とした生理反応として心をとらえるのが妥当でしょう。

脳科学の世界では、脳内物質と感情との関係が少しずつ解明されつつあり、さらに腸内環境やホルモンバランスが心の健康と密接に結びついていることが分かってきています。

つまり、トラウマ(心の傷)について考えるときには、身体的、生理的反応も含めて考えると分かりやすいのです。

 

トラウマが原因で起こるPTSDとは?

人間は強いストレスを感じると、「なかなか眠れない」「体か震える」「心臓がドキドキする」「胃が痛む」といった身体反応が起こり、さらには「いつもできていることができない」「怖いものを見ても恐怖を感じない」といった心理的な防衛反応が起こることがあります。

 

通常ならばこれらの症状は数時間~数日間程度で消えるものですが、あまりにも強いストレスを脳が受け取ると、数週間経っても症状が残り続けてしまうのです。

1ヵ月以上経っても、身体反応や防衛反応が消失せずに、日常生活に支障をきたしている状態をPTSD( Post Traumatic Stress Disorder心的外傷後ストレス症候群)と呼んでいます。

ただ、同程度のストレスを受けても、PTSDになる人もいるし、ならない人もいます。

PTSDの原因としては、外的なストレス要因だけではなく、当人の性格、体質、ストレス耐性などの要因も考えられます。

さらに、PTSDとまでいかなくとも、なんとなく生きづらい、身体検査では特に異常はないが、心身の調子がすぐれないといった状態が継続する場合にも、トラウマが関与していることが考えられます。

 

PTSDを引き起こすトラウマの原因は?

PTSDを発症するようなトラウマの原因は、自身の許容値を超えたストレスフルな体験です。

 

具体的に以下のような体験はトラウマとなり、PTSDにつながることが考えられます。

 

PTSDとなるトラウマの原因の例

  • 戦争
  • 自然災害
  • 事件・事故
  • 犯罪被害
  • 虐待
  • 身近な人の死亡
  • ハラスメントの被害
  • いじめ
  • 侮辱
  • 性被害

 

また、自分自身が上記のような体験をした場合に限らず、第三者が体験している様子を目撃した場合もトラウマとなり得ます。

たとえば、目の前で殺人事件を目撃してしまった場合などは、その出来事が記憶に強く定着し、PTSDを発症してしまう可能性が十分に考えられます。

さらに、感受性の強い人は、他の人からすると些細な出来事であっても、心に大きなダメージを受けて、PTSDの症状を呈することがあります。

「DV」による恐怖感もトラウマとして残る原因のひとつです。
こちらの記事ではDVの具体的な特徴、原因について詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
参考記事:DVの解消にカウンセリングは効果的?特徴や原因も詳しく解説!

 

PTSDの症状

PTSDによって引き起こされる代表的な症状の一つに「フラッシュバック」とよばれるものがあります。

フラッシュバックとは、過去のつらい記憶が日常生活のなかで急によみがえり、その体験をした当時と同じような気持ちになってしまう状態のことをいいます。

トラウマの原因となった出来事から、数か月あるいは数年単位で時間が経っているにもかかわらず、まるで今全く同じ体験をしているかのように鮮明に記憶が呼び起こされるのです。

 

PTSDには、フラッシュパック以外にも以下のような症状があります。

PTSDの症状

  • 常に緊張が張りつめてイライラしている
  • ぐっすり眠ることができない状態が続く
  • 自分自身の感情が実感できなくなる

 

また、PTSDは単体で発症するだけでなく、PTSDがきっかけで不安障害やうつ病といった、ほかの精神疾患も合併症として発症するというケースも多くみられます。

 

こんな症状はPTSDなのかも

PTSDは、はっきり覚えていないような幼少期のトラウマによって引き起こされることもあります。

悪夢に悩まされたり、原因不明の緊張感が長年続いたりして、当人自身もなぜこんなに苦しいのか分からずに悩み続けることもあるのです。

先に触れたフラッシュバックなどの症状について、さらに具体的に一つずつ確認していきましょう。

 

症状①突発的につらい記憶がよみがえる(フラッシュバック)

トラウマとなる記憶が急によみがえる、いわゆる「フラッシュバック」はPTSDの代表的な症状です。

トラウマの原因となる出来事やそれに関連する物事にかかわることによって、その体験が引き金となり、連鎖的につらい記憶がフラッシュバックします。

 

ただ記憶を思い出すだけではなく、再びその出来事を実際に体験しているかのような感覚に陥り、当時と全く同じ感情になってしまうという場合もあります。

それによって、急に涙が出てしまったり、挙動不審な言動をとったりしてしまうことがあるため、周囲からは突発的な行動をとっているように見えることもあるでしょう。

 

症状②常に神経質になってしまう

PTSDによって常に恐怖と隣り合わせの日々を送ることになるため、神経が張り詰めて常に緊張しているような状態になってしまうという症状もあります。

 

そのために、些細なことですぐにイライラして怒りっぽくなったり、小さな音に驚いたりしてしまう状態になることがあります。

また、夜に眠れない、悪夢に悩まされる、朝起きたときにも疲労感を感じるなどと訴える人も多いのです。

 

症状③無意識に行動を制限してしまう

フラッシュバックは、いつどこでどんなことがきっかけで起こるのか、それは本人にも分からないことが多いです。

日常的にかかわる物事や、人との会話で登場する断片的な言葉など、些細なことでも頭の中でトラウマと結びついてしまうことが大いにあるためです。

 

PTSDを発症すると、トラウマと少しでも関連性があるような場所や出来事、人などを避けるようになってしまいます。

とはいえ、フラッシュバックの要因は日常のあらゆる場所に潜んでいるものです。

そのため、フラッシュバックを避けるためにトラウマのあらゆる要因から距離を置こうとすることで、日常生活が極度に消極的なものになってしまうことがあるのです。

 

症状④感情・感覚が麻痺状態になる

PTSDを発症すると、それまでは問題なく感じられていた感情や感覚が麻痺し、心があまり動かなくなってしまうこともあります。

具体的には、自分の身体が自分のものとして感じられなくなる、これまで愛しいと思っていた相手に対する愛情が感じられなくなってしまうといったことが挙げられます。

自分自身に起きた辛い経験を認められずに、自分自身からその記憶を切り離そうとして起こる、解離症状と呼ばれる状況です。

 

カウンセリングによるトラウマの克服は可能?

カウンセリングを受けることは、トラウマからの解放のために非常に有効なものです。

トラウマのカウンセリング治療について、以下にまとめました。

こちらの記事ではカウンセリングがもたらす効果について詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
参考記事:カウンセリングとは? 受ける際の流れやメリットについて解説

 

トラウマに対するカウンセリングなどの支援が適切なタイミング

トラウマとなった出来事の内容によっては、今現在、日常生活の安全性や衣食住の確保すらもままならないといった状況になっていることもあるでしょう。

また、事件や事故に巻き込まれて怪我をしているという場合もあり得ます。

そのような場合は、まず安全な環境での衣食住を確保し、また怪我は医療機関で適切な治療を受けることを優先していきます。

ケースバイケースではありますが、基本的にはこれらの基盤が整ってから心理カウンセリングを受けることをお勧めします。

参考記事:深刻な心の問題を抱えている人にカウンセリングが必要な理由

 

トラウマのカウンセリングでは具体的に何をする?

トラウマを解消してPTSDを癒すために、トラウマの場面や記憶に意図的に直面させるエクスポージャー(暴露)療法という一種の行動療法があります。

確かにときには有効な療法ではあるものの、心身に過度な負担がかかることもあり、弊害も指摘されています。

 

カウンセリングの基本は、クライアントが自らの悩みや問題を言葉にして語り、それをカウンセラーが傾聴し、共感するということです。

しかしながら、それだけでは重篤なトラウマを癒すことは難しいです。

心理相談室セラペイアでは、FAP(Free From Anxiety Program不安からの解放のプログラム)というトラウマ治療に特化したセラピーを行っております。

FAPは無理に苦しい体験を告白しなくとも、トラウマ治療に卓効のある心理的技法です。

また、心の問題は体の状態とも密接に関係しますので、食事や生活習慣の改善なども含めて、多角的にPTSDの改善のためのサポートをさせて頂きます。

 

パニック障害にもFAP療法は効果的です。
こちらの記事では、パニック障害について解説していますのであわせてご覧ください。

参考記事:パニック障害とは? 治療はカウンセリング?

 

カウンセリングを受けることでトラウマと向き合うためのヒントがわかる

今回は、トラウマの概要とともに、トラウマのカウンセリング治療に関する内容をお伝えしました。

トラウマは、一度抱えてしまうと長期間に渡って日常生活に支障を及ぼすことが多いです。

 

体と心は密接に関係しているため、心に元気がないと、体調を崩してしまう方もいらっしゃいます。

我慢をせずに専門家に相談をしましょう。

カウンセリングを受けることで、トラウマによる心理的、生理的な症状を解決することは十分に可能なのです。

そればかりか、辛かったトラウマ体験をこれからの人生のスパイスとして、むしろ生かしてプラスに変えていくヒントも得られるのです。

 

もし現在、トラウマでお悩みであれば、心理相談室セラペイアまでご相談ください。

現代の脳医学と東洋医学を応用した独自のFAPカウンセリングで、あなたの辛い気持ちを解放に導きます。

大田区でカウンセリングをお探しの方は、蒲田駅・大森駅最寄りの心理相談室セラペイアまで、ぜひ足を運んでみてください!

HSPとは?カウンセリングが有効なのかどうかとともに解説

 

「人のちょっとした言動に傷ついてしまう…」

「他人はあまり気にしない匂いが気になる」

HSPとはHighly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略語ですが、光・音・匂い、または対人関係において非常に敏感な性質を持つ人々のことです。

 

過敏な傾向がある人は、生きづらさを感じている人が多いです。

自分がHSPなのかどうかを判別してもらい、HSPだった場合の対処法としてでカウンセリングを希望されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

そこで今回は、HSPの概要や、有効なカウンセリング方法を紹介します。

HSPについて詳しく知りたいという方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

HSPは病気なのか?

HSPは、近年SNSが普及し、有名人や著名人が公表したことなどをきっかけに知られるようになりました。

言葉だけを見ると病名のように思えるかもしれませんが、5人に約1人がHSPに該当するともいわれ、病気ではなく、生まれ持った性格の特性であるとみなされています。

 

しかしながら、HSPは遺伝的な要因以外にも、幼少期の体験、ストレス耐性が薄いこと、さらには化学物質、大気汚染などの後天的、外的な要因も絡んだ広範囲な概念です。

HSPにより生きづらさを感じてしまうと、さらにうつや不安障害、睡眠障害などが引き起こされることも少なくありません。

また、最近になって糖尿病や脂質異常症などの身体的な影響を及ぼす可能性が高まることも明らかになってきました。

一人一人違うHSPの要因を見極めて、改善できる部分を見つけ出し、対処していくことが必要なのです。

また同時に、HSPを病的なものと見なすことなく、仲良く付き合っていくことも必要です。

以下でさらに詳しくお話ししていきます。

こちらの記事ではうつ病について詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
参考記事:うつ病にカウンセリングは効果的?うつ病についても詳しく解説!

 

HSPの7つの特徴

HSPの方には、主に7つの特徴があります。

自分がHSPなのかどうかを判別したい方は、それぞれの特徴を詳しく見ておきましょう。

 

特徴①自分のことを責める

HSPの方は自分の価値が低いと考えているため、過度に自分のことを責めるという特徴があります。

 

たとえば、周りにいた誰かが怒っているときに、自分に一切非がない状態であったとしても「自分の責任なのではないか」と考える傾向にあります。

 

特徴②1人の時間を好む

HSPの方は、1人の時間を好むため、大人数の場を好まず、

大部屋で行われる会議やセミナーなどに対して大変なストレスを感じてしまいます。

 

広い場所では、さまざまな刺激を受け取りやすく、疲労も溜まりやすいため、自分の世界に入れる1人の時間が大切だといえます。

 

特徴③小さな音が気になる

日常生活の小さな音が気になってしまうということも、HSPの方の特徴の1つです。

たとえば、キーボードを打つ音や時計の針の音など、非HSPの方は気にならないような音も気になってしまいます。

 

そのため、読書や仕事をしていても周囲の小さな音が気になり、集中しづらいということもあります。

 

特徴④他人を優先する

HSPの方は自分の意見よりも他人の意見を優先してしまい、自己表現がうまくできないこともあります。

 

HSPの方は、相手の気持ちを汲み取ろうと気を使い過ぎてしまうことがあります。

また、思考や感情が混乱しやすく、自らの意見を整理することができなくなることも多いのです。

 

特徴⑤人の頼みをすべて受け入れる

さらに、自分より他人を優先する傾向があるHSPの方は、頼まれたことを断れずに請け負ってしまうという特徴もあります。

 

自分に自信がなく、意見が言えないことや考えこんで即答ができないことで、人の頼みを受け入れてしまうのです。

人の頼みを断れない結果、自分の時間がなくなって後悔してしまいます。

 

特徴⑥よくパニックに陥る

HSPの特徴として、もともと決められていた予定がなにかの理由によって変更になった場合に、パニックを起こしやすいということも挙げられます。

 

HSPの方は感受性が豊かで、物事に対して深く考える傾向にあるため、一度決められたことが変更になると過剰に反応してしまいます。

そのため、予定が変更された場合にどのようにすればよいのかがわからず、パニックに陥ってしまうのです。

こちらの記事ではについて詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
参考記事:パニック障害とは? 治療はカウンセリング?

 

特徴⑦小さなことに気づく

ここまで紹介してきた特徴は、当事者にとってはネガティブなものでしたが、HSPの特徴にはポジティブな一面もあるものです。

 

周囲の状況や雰囲気をよく見ているからこそ、小さなことに気づけるということもHSPの方の大きな特徴です。

たとえば、相手がいつもよりも口数が少なかったり、生気がなかったりすると、何か悩みを抱えているんじゃないかとすぐに気がついたり、周囲のちょっとした変化に応じた気配りができたりします。

 

HSPのタイプとは

ここまでHSPの特徴を解説してきましたが、実はHSPはいくつものタイプに分類できます。

それが以下の4つです。

  • 内向型で刺激を求めないタイプ
  • 外向型で刺激を求めないタイプ(HSE)
  • 内向型で刺激を求めるタイプ(HSS型HSP)
  • 外向型で刺激を求めるタイプ(HSS型HSE)

それぞれ順に特徴を見ていきましょう。

内向型で刺激を求めないタイプ

内向型で刺激を求めないタイプは、一般的にイメージされる典型的なHSPだといえます。

 

このタイプは、ネガティブ思考で社交的ではないことや打たれ弱いことなどが特徴です。

ストレスを溜めないために、自分だけの時間を確保することが大切です。

 

外向型で刺激を求めないタイプ

外向型で刺激を求めないタイプは、HSEとも呼ばれます。

HSEとは、「Highly Sensitive Extrovert(ハイリー・センシティブ・エクストロバート)」の略で、HSPの中でも他者と交わることを好む外向性をもった人達のことです。

HSEの方は、典型的なHSPとは違って社交的ではあるものの、周囲の方に拒絶されることが苦手です。

そのため、相手や周囲の状況を観察してリスクを冒さない行動、刺激の少ない行動を選ぶ傾向があります。

 

内向型で刺激を求めるタイプ

内向型で刺激を求めるタイプの方は、HSS型HSPと呼ばれます。

HSSとは、「High Sensation Seeking(ハイ・センセーション・シーキング)」の略で、変化や新しいことを好み、刺激を求めて行動をとる人達のことを呼びます。

このタイプは、刺激を求めるがゆえに、頭でしっかりと考える前に行動に移すことや、好奇心旺盛であることなどが特徴です。

しかし、そもそもHSPの特徴として社交的ではないという前提があるため、刺激を求めたことでかえって疲れてしまうこともあります。

 

外向型で刺激を求めるタイプ

外向型で刺激を求めるタイプはHSS型HSEとも呼ばれ、活発で好奇心旺盛なのでリーダーシップも発揮できるタイプです。

自分から刺激を求めるため大胆な行動をとるものの、小さなミスを引きずる傾向にあります。

主な特徴として、周囲の方にも気を配れるアクティブな一面があることで、あとから疲れてぐったりすることや傷ついたりすることなどが挙げられます。

 

HSPの人自身ができるHSPへの対処方法

「繊細さん」自身が行えることと周囲の方が行えることに分けて、HSP特有の困りごとに対するそれぞれの対処方法を紹介します。

 

対処方法①少しずつ刺激に慣れるようにする

HSPの方はなによりも敏感であるため、あらゆる刺激を避けてしまう傾向があります。

しかし、敏感さによる苦痛を減らすために刺激を避けつづけると、刺激に対する免疫が無くなることでさらに刺激に弱くなってしまいます。

そのため、限られた範囲でのみ行動するのではなく、少しずつ行動範囲を広げて刺激に慣れることが大切です。

 

刺激を避けるために家の中ばかりにいるという方の場合は、少しずつ外に出る努力をしましょう。

徐々に刺激に慣れていくことで、苦痛が軽減することも多いです。

 

もっともこれは、ただ単に刺激による苦痛の軽減そのものを目的にするのではなく、外での活動に興味を持って面白さを見つけるということが目的です。

あまり無理はせずに、少しだけ努力してみるといった感覚が大切です。

 

対処方法②無理に寝ようとせず目を閉じてゆったりする

敏感さのある「繊細さん」は、寝ていても少しの物音で目が覚めてしまうことや、眠りが浅いことがよくあります。

 

一度目が覚めると、そのあと寝られないのではないかという不安に包まれて、さらに寝られなくなってしまうという方も多いのではないでしょうか。

そのときは、無理に寝ようと頑張るのではなく、目を閉じてゆったりするだけでも大丈夫です。

入眠できなくとも、体を横にしているだけで生理的な休息はかなりとれるものです。

リラクゼーション音楽やアロマ、カーテンの色など入眠の環境を整えておくこともおすすめできます。

 

対処方法③いつでも逃げられる自分だけの場所を確保する

HSPの方は敏感さによって小さな刺激で傷ついたり疲れたりするため、逃げられる場所を事前に確保しておくことが大切です。

 

なにかに疲れたときや傷ついたときは、自分だけの場所に逃げ込んで自分だけの時間を過ごしましょう。

逃げ込んだあとは深呼吸をしたりして、また外に出て刺激と向き合えるように落ち着くまでエネルギーを蓄えましょう。

 

対象方法④周囲の方との境界線を設ける

HSPの方は周囲の人の言動に気持ちを左右されるため、すぐ疲れてしまうという傾向があります。

そのため、周囲の人との境界線を設けることによって、自分の気持ちを楽にすることも考えるとよいでしょう。

 

かかわる人によって、できることやできないことなどの線引きをしておくことで、割り切った対応ができます。

HSPの周囲の方が行える対処方法

さらに、この項目では、家族のメンバーなどにHSPの方がいる場合に、周囲の方が行える対処方法を4つ紹介します。

HSPの方とどのように接したらよいのかがわからずにお困りの場合は、ぜひ参考にしてみてください。

 

対処方法①しっかりとHSPの特徴を理解する

まずは、周囲の方が、HSPを詳しく理解しておくことが大切です。

「繊細さん」にはどのような行動傾向があるのか、また弱みや強みはどのようなものなのかを知ることで、接し方も変えることができます。

 

また、HSPの特徴だけではなく、「繊細さん」自身の生き方に対しても理解してあげられるとなお良いでしょう。

周囲の方の対応が変わることで、本人のストレスもかなり緩和されることが多く、非常に大切な取り組みだといえます。

 

対処方法②ポジティブな部分はしっかりと褒める

「繊細さん」には、弱みだけではなく長所や能力もあるのです。

周囲の方が良いところを見つけて、しっかりと褒めてあげることも大切なことです。

例えば、以下のようなものが挙げられます。

 

繊細さんの長所

  • 感性が豊か
  • ユニークな発想
  • 共感能力が高い
  • 記憶力がいい
  • 気配りができる

 

弱みだけに目を向けてしまうと繊細さんそのものを否定しているように捉えられてしまいます。

弱みだけではなく長所や能力に対して目を向けて、その部分を積極的に褒めることは「繊細さん」の存在を認めることであり、「繊細さん」の自信につながります。

 

対処方法③適度な距離感を保って接する

「繊細さん」の大きな特徴は、日常生活の刺激に苦痛を感じて疲れやすいという点です。

 

そのため、「繊細さん」が疲れているときには適度な距離感で見守ってあげることも大切です。

1人だけになれる時間を確保してあげるだけで、「繊細さん」が自分のペースで回復しようと思えるようになってきます。

過剰にかかわることは避けましょう。

 

ただし、見守ることと放っておくことは意味が異なります。

「繊細さん」との距離感を保ちつつ、どのような行動をしているのかをさりげなく確認しながら、適切なタイミングで声をかけてあげましょう。

 

対処方法④落ち着いたコミュニケーションをとる

「繊細さん」と話すときは、できるだけ落ち着いて対応しましょう。

話しかけるスピードをゆっくりにしたり、柔らかい口調にしたりするだけで、HSPの人の気持ちは変わってきます。

 

感情的な意見をただぶつけてしまったり、一気に多くのことを伝えてしまったりすると、「繊細さん」は混乱してしまいます。

「繊細さん」は周囲の方の表情や仕草に敏感であるため、周囲の方が「私はこう感じているよ」「怒ってないよ」と、ジェスチャーを使ったりして伝えてあげることを心がけてみてください。

 

HSPとと重複する他の障害

先に述べたとおり、HSPは診断名ではなく、その原因もいまだはっきり分かっていません。

ただ、米国精神医学会の診断マニュアルであるDSM⊶5には、自閉症スペクトラム障害というカテゴリーがあり、その中にいわゆるHSPの特徴が含まれています。

 

ASD(自閉症スペクトラム障害)

まずは、ASD(自閉症スペクトラム障害)です。

ASD(自閉症スペクトラム障害)は、後述する発達障害の一種で、以下2つの特性が見られます。

  • 社会的コミュニケーションおよび対人相互反応における持続的な欠陥

言葉を字義通りに捉える、行間や空気を読むのが苦手といったコミュニケーション特性から生じる「過度な素直さや真面目さ」は、HSPに重なる部分が見受けられます。

  • 行動、興味、または活動の限定された反復的な様式

極度のこだわりや、何度も同じ字を書くなどの常同行為は、HSPに見られる「細かいところまで気になる」という特性と一致するものです。

そして、自閉症スペクトラムには、以下のような感覚過敏が伴うことがあるのです。

感覚過敏は五感のいずれか、あるいは複数箇所が敏感になる特性で、以下のような事例が挙げられます

  • 視覚:蛍光灯や太陽光が過度に眩しく感じる、など
  • 聴覚:小音でもうるさく感じる、カフェなど騒音がある場所で会話できない、など
  • 嗅覚:においに敏感、など
  • 味覚:過度な偏食、ドレッシングがかけられない、など
  • 触覚:水に触れるのが苦手、ハンドクリームが塗れない、など

 

 

HSPに対する地球的な視点

つまり、HSPとは、ASD(自閉症スペクトラム障害)の一側面としてとらえることもできるわけです。

しかしなから、HSPのみならずASDもまたそのメカニズムがはっきりわかってはいません。

ですから、疾病という概念から離れて、もっと大きな枠組みで考えてみることが必要なのです。

 

太古の昔の私たちの先祖は、恐竜や猛獣に怯え、洞穴に隠れて生活していた時代があったかと思います。

大きく凶暴な動物に対して、果敢に戦いを挑んだ人たちは殺されてしまい、むしろ、洞穴の中で少しの物音にビクビクしていた人たちが生き残りました…

生活環境のリスクを敏感にキャッチできる人たちは、力ではなく知恵を使って生き延びてきたのです。

HSPの素因をもっていた先祖のおかげで今の人類の繫栄があるのかもしれません。

長い目でみると、臆病遺伝子をもつことは実は生存力の強さだったということなのです。

猛獣の脅威はなくとも、戦争、天災、疫病などのリスクがある現代社会の中で、ある一定数HSPの人たちがいることは地球的な視点からみると深い意味があることのように思えます。

 

心理相談室セラペイアでは、FAPによるトラウマ治療を中心に、さまざまなカウンセリング技法を駆使して、これからの生き方を提案するカウンセリングを行っています。

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