気分転換やリフレッシュ、ちょっとした自分へのご褒美で買い物やショッピングを楽しむ方は多くいるでしょう。
しかしそれが過剰になり、なおかつ頻繁に繰り返すことを「買い物依存症」といいます。
買い物依存症は正式な病名ではありませんが、結果として、経済的な負担はもちろんのこと、家族関係、友人関係を崩すことに繋がります。
そこで本記事では買い物依存症について、その症状や原因、そして、回復のための方法について詳しく解説します。
自分はもしかしたら買い物依存症なのではないかと思っている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
買い物依存症とは
買い物依存症とは、名前の通り、買い物をすることに依存した状態を指します。
依存症というとギャンブルやタバコ、アルコールや薬物などをイメージする方も多いでしょうが、最近ではスマホやゲームといった新たな依存対象が出てきていますよね。
クレジットカードが普及し、さらにネットで手軽にショッピングができる社会の中で、買い物依存症も現代的な依存症の一つなのです。
買い物をするとテンションがあがり、嫌なこと・ストレスなどが一時的に忘れられたり、満たされたりすることから、モノが欲しいというよりも買い物をすること自体の快感が目的となるのが特徴的です。
そして、他の依存症と同様に、その快感に脳が支配されてしまい、買い物への衝動がセルフコントロールできなくなってしまうのです。
抑えきれない衝動であるために、借金をしてまでも買い物を繰り返し、最後には自己破産してしまう方も少なくありません。
自分ではダメだとわかっていても止められず、家族関係が破綻して自己嫌悪に苛まれる方も数多くいます。
買い物依存症は女性に多くみられる傾向があり、男性はギャンブルへの依存が多いとされますが、それでも男性の買い物依存症も決して珍しいことではありません。
こちらの記事では依存症の特徴や原因、 効果的な治療方法について詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
参考記事:依存症にカウンセリングは効果的?特徴や原因も詳しく解説!
買い物依存症になる社会的要因
買い物が元々好き人=買い物依存症になりやすい人 ? なのでしょうか。
そうではなく、まず買い物依存症になる下記のような社会的要因というものがあるのです。
- ストレスがたまる環境に悩んでいる
- クレジットカードやスマホで簡単に決済できる
それぞれ解説していきます。
ストレスがたまる環境に悩んでいる
子供の不登校…夫婦の不和…親の介護…
会社の上司との関係…営業のノルマ…
など日々ストレスがたまる環境というものは買い物依存の引き金になることが多いものです。
人付き合いもあまりなく、周囲に愚痴を聞いてもらえるような人もいない…
ストレス発散の方法が見つからない…
となると買い物への衝動が増していきます。
クレジットカードやスマホで簡単に決済できる
買い物依存症を後押しする要因として、キャッシュレス決済が挙げられます。
最近はクレジットカードで気軽に後払いができ、現金を持ち合わせていなくてもスマホ1つで決済が完了するなどとても簡単に買い物ができてしまう世の中。
クレジットカード・電子決済は便利である一方、買い物依存症の方にとっては依存性をより強くする要素ともいえるでしょう。
簡単に買い物ができてしまうからこそ、買い物するまでに自分のお財布と相談する時間も少ないのです。
またカードやキャッシュレス決済は、現金が目に見えない形で支払われるので、支払っている感覚が乏しいのもデメリットです。
買い物依存症の症状
買い物依存症になった場合の症状は主に下記です。
- 買い物をするときは興味があった商品に買い物を終えると興味がなくなる
- 借金を繰り返して買い物をしたことがある
- 借金を返済中でも欲しいものがある・買いたいものがある
- 数量限定・期間限定というような謳い文句に弱い
- シリーズものの商品はすべて揃えたくなる
- 良いものを身に着けている自分が特別に感じる
- 買い物をしない日がない
- 部屋が使っていないもので溢れている・整理整頓ができないくらいの量になっている
上記は買い物依存傾向にある人がもちやすい症状であり、思考パターンですが、当てはまる項目はありましたでしょうか。
一口に買い物依存症といえども、軽症から重症までの程度があり、自分の収入内でのやりくりですむ場合もあれば、借金を幾度となく繰り返すケースもあるのです。
上記に挙げた項目がほとんど当てはまるようであれば重症といえます。
また1~2個程度であっても、ストレスフルな現代社会の中では依存症にエスカレートするリスクがあるので備えが必要です。
一度買い物依存に陥り、経済的に逼迫してしまうと、心身に負担がかかり、他の病気が併発してしまう可能性もあります。
買い物依存症になりやすい人
買い物依存症になりやすい人の特徴としておおよそのところ下記の2点が挙げられます。
真面目な性格の人
買い物依存に陥る人は真面目・誠実・責任感が強い人が多いものです。
もちろん、そのような性格は良いものなのですが、同時にそのような人は必要以上に何でも自分自身で背負い込む傾向もあるのです。
健全な責任感が行き過ぎると、体にストレスがかかり、そのはけ口が買い物への依存ということになってしまうのです。
人に任せられることはうまく人に任せることは作業効率の意味でも必要なことなのです。
孤立して過労が重なると、さらに買い物依存がエスカレートするリスクがあります。
自己肯定感の低い人
自己肯定感がもともと低い人は、買い物依存症になりやすいといわれています。
自信のなさや孤独感からくるストレスを、買い物で発散させようとするからです。
自己肯定感の低い人ほど、その反動として虚栄心が生まれてしまうものです。
「周りからどう見られるか=自分の評価」だと思っている方は、とても危険。
人からうらやましがられるためにハイブランドのものを購入したり、大きな買い物をしたりするうちに買い物依存症に陥っていくのです。
ブランド・ショップで店員さんに丁重に扱ってもらえる心地よさも依存症に拍車をかけるのです。
買い物依存症からの回復の身近な方法
買い物依存症についての要因や特徴をご紹介してきましたが、ここからはそんな買い物依存症からの回復方法について解説していきます。
軽度の買い物依存傾向であれば、まず下記のことをお勧め致します。
- 家計簿を作る
- 定期預金を利用する
今日から実践できることもあるので、ぜひ試してみてくださいね。
家計簿を作る
買い物依存をセルフコントロールする方法の一つとして、家計簿を作ることが挙げられます。
買い物依存傾向に陥っている方は、自分がどれくらいの期間でどれくらいの支出があるのか把握できていないケースが多いです。
家計簿をつけることで、自分のお金の使い方を客観視できるので一つの目安がわかります。
最近ではスマホのアプリを利用した家計簿もあり、手軽にチェックできたり、管理できたりします。
そもそも家計簿をつけたことがない方は、月ごとや週ごとにモノを買った際のレシートを残しておき、ノートに貼り付けていくだけでも効果的です。
自分のお金の流れを可視化するのがポイントです。
定期預金を利用する
買い物依存症の対策として、定期預金を利用するのもおすすめです。
各銀行には定期的に預金を別口座に一定額移してくれる制度があります。
お金を使うのではなく、貯めることにシフトチェンジするのです。貯金することにシフトチェンジすれば「買い物することで貯金が減る」という考えが浮かぶようになります。
また口座にお金が減ることで「使っている感」があるので、浪費をある程度ストップしてくれるでしょう。
買い物依存症からの根本的な回復方法
買い物依存について、身近な対処作について説明してきましだか、買い物依存症がエスカレートしてしまうと、脳がその快感に支配されてしまい、セルフコントロールができなくなってしまいます。
ここからは、依存症からの根本的な回復のための方法について解説していきます。
- 自助グループに参加する
- カウンセリングを受ける
自助グループに参加する
買い物依存に限らず、依存症からの回復の定番は、自助グループに参加することです。
自助グループとは、同じ問題をもつメンバーが集まり、秘密厳守のルールのもとで、お互いに自らの悪癖をシェアし合うグループのことです。
専門家による治療行為ということではなくて、お互いの悩みに共感することで、依存症からの回復の力が得られるのです。
最近は、SNSを使った自助グループもできています。
カウンセリングを受ける
グループの中でのシェアは苦手という人も多いものです。
カウンセリングもまた、共感の力を重んじるものであり、依存症回復のための有効なツールです。
依存症を引き起こしている自信のなさ、心の虚しさは、幼少期からのトラウマに起因することが多いのです。
カウンセリングは、そのトラウマにフォーカスし、また、未来の生き方の方向付けをサポートするものです。
カウンセリングでは、自助グループにはない手法を用いて依存症回復のためのアプローチをしていくのです。
買い物依存症は改善が見込める
今回は買い物の制御が効かなくなる「買い物依存症」についてご紹介してきました。
買い物依存症になりやすい人として、真面目な人や人からの評価を気にする人などが挙げられます。
自分がもしかしたら買い物依存症かも?と思ったときは、自助グループに参加したり、メンタルクリニックや依存症問題を扱っている相談室でカウンセリングを受けてみましょう。
早期に適切な対応をすることで早期の回復が望めます。
買い物に限らず「依存症」の状態は自分で制御しコントロールすることができないものですから、恥ずかしがらずにグルーブや専門家の力を借りて回復に専念するのがおすすめです。
うまく人に任せることから、本当の自律が始まります。
一人で悩みこまず、気軽に相談しましょう!